セメントによる河床の表層地盤改良

2021年02月12日 河床

河床が軟弱地盤である場合は地盤改良が必要となります。地盤改良工法にはさまざまな種類がありますが、セメントまたはセメント固化材が用いられる「セメント改良」は代表的です。この記事ではセメント改良の施工方法、セメント改良が向いている土質、施工手順等を紹介します。

河床の軟弱地盤が浅い場合、表層改良工法による地盤改良が有効です。表層改良工法は軟弱地盤の深さが地表から2m3mのケースでよく用いられる工法で、軟弱土を原位置で固化材と混合して目的に応じた改良層を造成します。深層部に優良な地層が確認される場合は、表層改良のみの地盤改良で対応が可能です。

表層改良工法(浅層混合処理工法)の特徴は、作業効率が高いこと・強度を維持できること・現場支持力が高く、すべりに対して安定すること・液状化の抑制効果があること・コストを抑えられること・比較的小型の重機で施工できることです。強度維持については、石灰でなくセメントを用いて表層改良した場合は特に強調しておいてよいでしょう。強度の発現と恒久性においてセメントは石灰に勝るからです。尚、セメントは石灰と比較し安価という特徴もあります。

セメントは幅広い土質の地盤に適用できる点も大きな強みです。火山灰質粘性土や腐植土などの改良には注意が必要で、特殊土用固化材等が用いられます。地盤改良ではセメントと石灰を使い分けますが、セメントの方が適用可能な対象が多いといえるでしょう。

河床のセメント改良の施工手順を説明しましょう。まずは地盤改良の対象となる河床を調査し、土質や地盤改良の必要な範囲を確認して工法を選択します。室内配合試験によってセメントの配合量を決定します。セメント改良における計算のための資料としては『セメント系固化材による地盤改良マニュアル』(※)等があります。同マニュアルにおいて、強度を発現できるセメントの最低添加量の指標が設けられているのでご参照ください。設計基準強度を決定し、施工計画を立てて材料や重機を確保した上で地盤改良工事を開始します。河川内での作業となるので、まずは大型土のうや矢板などで水をせき止める・かわすなどして水流に対処しながら工事を進めます。表層改良工法の場合、地盤改良範囲にセメントまたはセメント固化材を散布し、バックホウ混合します。セメントまたはセメント固化材と混ぜ合わせることで、軟弱地盤が強度のある地盤に変化するのです。

セメントは社会インフラを守るための重要なマテリアルのひとつといえるでしょう。

 

※「セメント系固化材による地盤改良マニュアル[4]」セメント協会(H24.10