浚渫(しゅんせつ)とは
2022年10月22日 河床
浚渫とは、港湾・河川・運河などの底面をさらって土砂などを取り去る土木工事のこと言います。河道において流下断面を拡幅する工事に、浚渫と掘削があります。それぞれの違いを解説するとともに、浚渫工事の手法を2つ紹介します。浚渫工事には、ポンプ浚渫とグラブ浚渫があり、それぞれのメリットとデメリットについても徹底解説します。
浚渫と掘削の違い
浚渫(しゅんせつ)とは、海や河道において、底に堆積した土砂をすくい取り水深を確保する作業のことです。浚渫工事によって水深を確保することで、走行する船が海底と接触するリスクを無くして安全・安心な航路を確保できます。そのため、土砂や岩石を掘り取ることを意味する掘削とは異なり、浚渫では堆積した細粒の土砂や泥土をすくい取ることに違いがあります。
浚渫と河道掘削の違い
それでは、浚渫と河道掘削とは何が違うのでしょうか?実は、両工事ともに河道の流下断面積を拡幅させて河川の流下能力を増加させることを目的としています。具体的には、海底や河底に堆積している土砂や堆積泥(へどろ)をすくい取る事を浚渫と言います。一般的には、時間経過とともに堆積した土砂や堆積泥(へどろ)を取り除いて、元の流下断面に復元する工事を指します。その一方で、河床や側面を掘削して流下断面を拡幅する工事を河道掘削と言います。
浚渫工事の手法
浚渫工事には、ポンプ浚渫とグラブ浚渫の2種類の手法があります。
ポンプ浚渫とは、先端に給水管が付いているポンプ浚渫船を使用します。給水管の先端にはカッターが付いており、堆積した土砂を切り崩しながら給水管で吸い上げます。船の後ろには、排砂管が付いており、埋立地まで伸びています。吸い込まれた土砂は排砂管を経由して埋立地まで運ばれる仕組みになっています。
グラブ浚渫とは、グラブバケットと呼ばれるクレーンで吊るされたショベルのようなもので土砂を挟み取ります。ポンプ浚渫船と異なり、グラブ浚渫では、グラブバケットが付いているグラブ浚渫船と土砂を積み込む土運船の2船を使用します。
各工法の特徴(メリットとデメリット)
ポンプ浚渫は、グラブ浚渫と比較して大型の船と設備を用います。そのため、素早く広範囲の土砂や堆積泥(へどろ)を取り除くことができるメリットがあります。しかし一方で、大型設備の分、コスト負担が大きいデメリットがあります。一般的には、海での浚渫工事に使われます。
グラブ浚渫は、グラブバケットが2~5m3程度のため、作業スピードと施工範囲が小規模になります。しかし一方で、取り除いた土砂や堆積泥(へどろ)を運搬する船が別途あるため、小回りが利き、港や壁岸などの構造物近接部や、橋梁近接箇所の狭隘部での施工が可能なメリットがあります。主に、河川での浚渫工事に用いられ、ポンプ浚渫では吸い取れない固い地盤にも適用可能です。