ラップルコンクリートの強度

2022年11月21日 地質

一般的なラップルコンクリートの設計基準強度((Fc)は、Fc=18 kN/m2のため、標準のコンクリート構造物である設計基準強度(Fc=24 kN/m2)と比較して、要求性能が小さいことが分かります。地盤改良の一つであるラップルコンクリート工法の概要と浅層混合処理工法(表層改良)との違いを解説します。

ラップルコンクリートの強度

攪拌状況

基本的に、ラップルコンクリートの設計基準強度はFc18と記載されているケースが多いです。Fcとは構造計算で設定したコンクリートの圧縮強度を示し、どれくらいの重さを支えることが出来るかを表します。単位はkN/m2となります。つまり、Fc18を例にとると、1平方メートルで18kNの重さを支えることが出来るという意味になります。これが、10平方メートルなら180kNの重さを支えることが出来るということです。

 

そもそもコンクリートの設計基準強度は、構造物の大きさや重要度などの要求性能に応じて決められます。一般的な土木構造物の設計基準強度((Fc)は、Fc=24 kN/m2です。それと比較すると、一般的なラップルコンクリートの設計基準強度((Fc)は、Fc=18 kN/m2のため、要求性能が小さいことが分かります。ここで、コンクリート面積が大きいほど、必要強度は小さくなることを補足しておきます。

 

地盤改良工法

ラップルコンクリートは、地盤改良工法の1つで置換工法と呼ばれています。通常、基礎地盤が軟弱地盤だと判断されたときは、深さに応じて地盤改良工法を実施します。

ケース1:軟弱地盤が0~2mの時

軟弱地盤が0~2m の場合は、セメント等の固化材を散布してバックホウにより混合・撹拌を行い、改良地盤を築造する浅層混合処理工法(表層改良)を行います。

ケース2:軟弱地盤が2~8mの時

軟弱地盤が2~8m 程度堆積している場合は、改良杭を使用した深層混合処理工法(柱状改良)が一般的です。本工法では、現場でセメント系の固化材と地山を専用の機械より撹拌・混合し、柱状の改良体を築造します。本工法は、ソイルセメントコラム工法とも呼ばれています。

ケース3:軟弱地盤が8m以上ある時

軟弱地盤が8m以上ある場合は、鋼管の杭で構造物を支える小口径鋼管杭工法を適用します。本工法では、地中30mまで適用可能です。

 

ラップルコンクリートと浅層混合処理工法(表層改良)の違い

支持地盤としてコンクリートブロックの上に構造物を施工するラップルコンクリートは、軟弱地盤をセメント系固化材などの改良剤を用いて攪拌・混合する浅層混合処理工法(表層改良)とは異なります。ラップルコンクリートは、小規模な施工範囲のケースで浅層混合処理工法(表層改良)よりも施工性・経済性の観点から高評価になります。軟弱地盤の一部をコンクリートブロックに置き換える施工のためピンポイントの施工範囲に対して有効な手段となります。その一方で、広範囲施工においては、掘削残土の処理やコンクリートブロック築造のスピードと比較してセメント系固化材を攪拌・混合する浅層混合処理工法(表層改良)が施工性に優れています。