深さ2m以内の地盤改良なら浅層改良

2021年04月05日 地質

軟弱地盤の深さが2m以内の場合、軟弱地盤を掘削して固化材と土を混ぜ合わせる、浅層改良・混合処理工法と呼ばれる地盤改良工法がよく用いられます。この記事では、固化材の種類、浅層改良・混合処理工法の概要や工事の手順、地盤改良における品質管理について説明します。

地盤改良とは、沈下や液状化のリスクが高い地盤の強度を人工的に高める土木工事を指します。セメントや石灰を固化材として用いるのが一般的です。地盤改良におけるセメントと石灰の使い分けは、セメントは恒久的に地盤の強度を高めたい場合に用い、石灰は一時的な固化に用いることが多いといえます。

セメントに有効成分を加えたセメント系固化材もよく用いられます。セメントの最小添加量は50kg/㎥といわれます。尚、セリタ建設では従来用いられている粉体のセメント系固化材の他、セメント系固化材のスラリー(セメント系固化材と水との混合物)を用います。粉体のセメント系固化材を使用する際に問題となる粉塵が抑えられる上に、締固めの手間が省けて、改良地盤の均質性を確保できるメリットがあります。

浅層改良・混合処理工法の特徴は、工期が短く費用を抑えられること、様々な土質に対応できること、狭い土地や高低差のある土地にも対応できることです。ただし、軟弱地盤の深さが3mを超える場合、中層改良・混合処理工法のほうが費用を抑えられる可能性があります。地盤改良の施工方法は、地盤調査を行った上で決定します。

浅層改良・混合処理工法の手順は、軟弱地盤を設定した深さまで掘削し、掘削した場所でセメントスラリーまたは粉体のセメント系固化材を加えて土と混合攪拌します。これを繰り返すことで、強度のある地盤に改良されるのです。

浅層改良・混合処理工法を含む地盤改良の現場では、適正な見積と品質管理を徹底しています。

地盤調査や試験結果をもとに地盤改良工法や固化材を選択し、設計基準強度を設定します。見積書は国土交通省の定める「土木工事標準歩掛」をもとに作成します。「土木工事標準歩掛」は工程ごとに設定されており、浅層改良・混合処理の場合は「表層混合処理工」の歩掛を参照します。坪当たりの単価を見積書で示すこともあります。施主に対しては仕様書を提出し、浅層改良・混合処理工法を採用する場合や中層改良・混合処理工法を採用する場合などケースごとに分けて工事計画を報告します。

地盤改良工事が終了したら、一軸圧縮試験を行い、変形係数や、地耐力と大きく関わる粘着力などを算出し、十分な強度が確保できているか確認します。

浅層改良・混合処理工法をはじめとした地盤改良は安全を守るための大切な工事なので、調査や試験に基づいた品質管理を行うことが求められるのです。