地盤改良工法の選定表を活用する

2021年04月30日 地質

地盤改良とは、地盤や地盤上の構造物を安定させるために人工的に地盤の強度を高めることです。地盤改良工法は土質や周辺環境などを考慮して決定する必要があります。土木学会が「地盤改良工法技術資料」の中で提示する選定表は、多くの種類から最適な工法を選択するのに役立つ資料なので、紹介します。

地盤改良工法選定表の他に地盤改良工法比較表がありますが、両者の違いを説明しましょう。

前者は前述のとおり「地盤改良工法技術資料」に掲載されています。この資料は、目的や地盤の条件に応じた工法を選択することに役立ちます。最初に工法ごとの概要を説いた上で分類・細分類を示し、地盤改良工法の選定表を掲載しています。地盤改良工法の分類を一覧でき、工法を体系的に理解することに資する資料といえるでしょう。

一方、「地盤改良比較表」は国土交通省の「工法比較表データベース」の地盤改良の箇所を指します。工法や技術をデータベース化したものです。現場条件や施工機械、発注者のニーズ、土質、改良径や改良長を入力して検索することで、条件に適した工法が表示されます。表示された工法・技術を比較して検討することも容易です。

いずれも、数多い軟弱地盤改良工法から適切な工法を選択することに役立ちますが、この記事では「地盤改良工法技術資料」の選定表について説明します。ここでは、圧密・排水工法、締固め工法、固化工法、注入工法および熱・電気処理工法に大きく分類されています。なお、「地盤改良工法技術資料」はもとの場所でもとの地盤に改良の効果を与える工法のみの記述に更新されており、除去置換工法や補強工法は外されています。

選定表に掲載された工法の概要は以下のとおりです。

圧密・排水工法:圧密促進が不十分な地盤にドレーンを打設するなどして排水を早めて圧密を促進させます。

締固め工法:振動や衝撃によって、あるいは、地中に砂杭を築くことによって土の密度を大きくします。

固化工法:軟弱地盤に固化材を加えて強度を高めます。広く用いられている浅層・中層改良はこれに該当します。

注入工法:地盤に薬液を注入して地盤の止水性と強度を高めます。

熱・電気処理工法:地盤に熱的な処理を施して地盤を固化します。

それぞれ適した土質が異なり、費用や工期、使用する重機などが異なるので、地盤調査した上で慎重に検討し、工法を決めることが求められます。