ラップルコンクリートと地盤改良

2021年08月23日 地質

ラップルコンクリートの概要と施工方法、地盤改良との違いについて説明します。ラップルコンクリートは軟弱地盤を強度補正する手段のひとつです。強度は上がるものの、経済性や環境負荷の点で地盤改良が優位といわれています。以下で詳しく解説していきます。

ラップルコンクリートとは

ラップルコンクリートとは、基礎下から支持地盤までを掘削したスペースに入れ込む無筋コンクリートのことです。砕石を英語でrubbleといい、ラップルコンクリートの名前はここに由来します。ラップルコンクリートは粗骨材に砕石を配合することで単価を抑えたコンクリートを使用するのです。ちなみに無筋コンクリートとは鉄筋コンクリートと逆に鉄筋が入っていないコンクリートを意味します。無筋コンクリートは鉄筋コンクリートと違って強度が小さいので構造物の材料としては適性がなく、ラップルコンクリートや捨てコンクリート・土間コンクリートなどに利用されます。

ラップルコンクリートの施工方法

まず、ラップルコンクリートを打設する箇所を、支持地盤に到達する深さまで掘削します。次に、ラップルコンクリートの型枠を建て込みます。型枠とは無筋コンクリートを流し入れる型のことです。ラップルコンクリートを型枠なしで施工することは基本的にありません。

型枠が完成したら生コンクリートを流し入れます。コンクリートが固まったら型枠を外します。

ラップルコンクリートが適さない事例

ラップルコンクリートは小規模工事に向くといわれます。工事の規模が大きくなると費用が高くなる傾向があります。例えば戸建て住宅程度の規模であってもラップルコンクリートが用いられることは稀です。住宅の基礎地盤にコンクリートを流し入れると200万円以上かかるといわれ、地盤改良と比較すると格段に高くなる上に工期も長くなる傾向があります。

また、軟弱地盤の厚さによってはラップルコンクリートでの施工がふさわしくないケースがあります。支持地盤が地中深くにある場合、ラップルコンクリートを打設することは困難なのです。杭工法などの地盤改良工法を検討したほうがよいでしょう。

ラップルコンクリートと表層改良の違い

地盤改良を簡潔に説明すると、セメント系固化材などを軟弱土に混ぜて強度を増すことです。ラップルコンクリートとは違う工法です。地盤改良工法のうち、表層改良もまた軟弱地盤があまり深くないケースで用いられますが、ラップルコンクリートとは経済性や環境負荷の点で違います。先述のとおりラップルコンクリートでの施工が経済的でないケースがあります。また、ラップルコンクリートは過剰設計になりやすく、残土が多く出るなど環境負荷が大きいという問題があります。一定規模の強度補正を行いたい場合に、ラップルコンクリートより表層改良はじめ地盤改良が選ばれやすいのはこのような事情によるものです。