ガスタンクを軟弱地盤上に築くリスク
2021年12月15日 地質
ガスタンクを軟弱地盤の上に建設するリスクを説明します。地震や人的ミスをきっかけにガスタンクなど危険物を貯蔵する施設の災害が発生しています。災害を防ぐためには、タンク本体の強度だけでなく、地盤の強度にも着目して対策を行いましょう。
ガスタンク等貯蔵所の事故
残念なことに、我が国においてもガスタンクを含む危険物を貯蔵する施設において重大な事故が起きています。タンク一基で起きた火災によって隣接するタンクも炎上したなど災害が拡大した事例もあり、通常の火災に比べて消火活動が困難になることも珍しくありません。また、タンクの内容物が流出した事故も起こっています。
軟弱地盤の上に建設されたタンクでは、地震などによる影響を受けやすくなります。軟弱地盤といえば海岸線を思い浮かべるかたも多いかもしれませんが、内陸の都市部においても、軟弱地盤上に、他の様々な建築物と並んでガスタンクが建設されていることがあります。こうした土地で地震が発生し、大規模な液状化が起こった場合のリスクは非常に大きいと予測されます。
安全のためにコストをかける大切さ
災害を防ぐためには安全維持にコストをかけることも求められます。タンク本体が耐震性能を満たしていることはもちろん、タンクを設置する地盤の強度が重要です。
地盤に強度があるかどうかは見た目では判断できません。ボーリング調査(標準貫入試験)などの地盤調査を行い、地盤の強度や土質を客観的に把握する必要があります。地盤調査の結果、地盤の強度が十分でないと判断されれば、土質や環境条件に合った地盤改良を実施しましょう。
地盤改良工法には浅層改良(中層改良)・混合処理や柱状改良工法、鋼管杭工法などがあります。浅層改良・混合処理は軟弱地盤が2m以内の土地での地盤改良に向いています。超ロングバックホウに装着した専用アタッチメントで改良対象土とセメント系固化材を混合攪拌することで強度を高めます。軟弱地盤が2mを超える場合は中層改良となります。柱状改良工法は、軟弱地盤が2~8mの場合に用います。改良対象土とセメントミルクを混合攪拌することで、円柱状の強固な地盤を築きます。支持層がない土地でも対応可能です。鋼管杭工法は軟弱地盤が8mを超える場合によく用いられます。鋼製の杭を地中に打ち込み、深度に応じて、鋼管を溶接してつなげていく工法です。
大規模災害を防ぐために、地盤改良は有効な対策のひとつであることをご理解いただければ幸いです。