ガスタンクの安全な設置のために
2021年11月25日 地質
ガスタンクは正式にはガスホルダーといい、家庭や工場に送る前のガスを溜めておくための施設です。常圧タンクと高圧タンクがあり、事故が起きないようにいずれも綿密な設計がなされています。ガスタンクを設置する地盤の強固さも安全のために欠かせません。
ガスタンクの役割
ガスタンクは都市ガスや化学工業用の原料ガスを貯蔵します。可搬用の小型圧力ガス容器はガスボンベまたはガスシリンダーと呼ばれ、ガスタンクとは区別します。
ガス工場から送られるガスは非常に高圧 (0.98~6.86Mpa) で、一般家庭でそのまま利用できません。そのため、少しずつ圧力を落として低圧 (1.0~2.5Kpa) にしていきます。ガスタンクの中身は、この低圧にしていく過程にある中圧 (0.29~0.97Mpa) のガスです。ガス消費量の少ない深夜に貯留し、消費量の増える朝や夕方などの時間帯にガスタンクから送り出します。こうして需要・供給のバランスをとっているのです。
ガスタンクの構造
ガスを常圧で貯蔵するタンクを常圧タンクといいます。常圧タンクはガスの量の増減に応じてタンク内の容積を変えます。土台の部分を水封されているドームが上下する湿式タンクと、ピストンが内部を上下する乾式タンクがあります。
湿式タンクは水封式のため水溶性ガスには用いられません。ガス中に水蒸気が飽和する・基盤の重量負荷が大きいなどの事情で数万㎥以下の容量のものが多いようです。乾式タンクは気密(気体の流通を密閉によって防ぎ、気圧の変化の影響を抑えること)方式の違いによって容量が60万㎥級または十数万㎥級に分かれます。
都市ガスを貯蔵しているタンクの多くは高圧タンクに分類されます。配管や貯槽を小型化させるため、また、小型化に伴う高い内部圧力に耐えるために球形が多いのが特徴です。球形であれば抵抗値が大きく内圧が均等にかかるのです。都市ガスを貯蔵するタンクの厚さは35mmほどで、通常の2倍の強度の特殊鋼板を幾枚もつなぎ合わせています。容量は1000㎥級から20万㎥級まであります。50㎥級以下の小型タンクは横置円筒型のものがよく見られます。定置タンク以外にも輸送用タンクローリーとして使用され、圧力も100気圧以上に及びます。
ガスタンクの安全な設置
ガスタンクは地質調査に基づいて選定した強固な地盤に頑丈な杭を打ち込み、鉄筋コンクリートの基礎の上に据え付けられているので、震度6の大地震にも耐えるといわれます。もし地盤の強度が小さければ安全は保てないということです。設置前には地盤調査を行い、土地の諸条件に応じた地盤改良を実施しましょう。