高確率で発生する地震に備え地盤改良
2021年04月16日 地質
日本では今後も高い確率で大きな地震が発生するといわれます。地震への備えとして有効なのが地盤改良です。地盤改良を行った土地は地盤改良していない土地と比較して、液状化の起こる割合が格段に小さいことが明らかになっています。この記事では地盤改良の効果や必要性について説明します。
地盤改良の効果は地震などの災害時に最もよく表れるといわれます。2011年の東日本大震災では液状化が問題になりました。砂などの粒どうしが結合することで安定していた地盤が、地震動によって結合を解かれ、粒が地下水に浮いた状態になるのが液状化です。これによって地盤上の構造物が沈んだり、傾いたりします。地盤改良によって地盤の強度を上げることが液状化の防止につながります。地盤が軟弱であるほど液状化のリスクが高く、地盤の強度が高いほどリスクが小さいのです。
地盤に強度があるか判断する基準のひとつに地形があります。一般的に、高台は地盤が強固であることが多く、逆に低地は軟弱地盤の確率が高くなります。とはいえ、地形だけで「地盤改良が必要ない」と判断することは不可能です。インターネット上には「地盤改良が必要ない土地は?」「地盤改良を安く済ませるには」などの情報が散見されますが、信頼性の低い情報を鵜吞みにして、必要なはずの地盤改良を行わなかったり、地盤改良費用を極端に抑えたりした結果起こるトラブルの方がむしろ深刻といえるでしょう。費用が気になる場合は見積や仕様書の内容を確認するなどして納得のいく地盤改良につなげた方が望ましいといえます。
「40坪でこの地盤改良費用は妥当か?」「30坪では?」「50坪では?」といった質問もインターネット上に寄せられていますが、残念ながら、限られた情報で費用の妥当性を判断することはできません。地盤改良費用は軟弱地盤の深さや工法等によって異なり、同じ広さの土地でも同じ費用で済むとは限らないからです。
地盤改良の工法を選択する基準として、軟弱地盤の深さや地盤の土質(粘性土か砂質土か)などがあります。地盤調査を行うことでこれらの情報を得ることができます。地盤の特質を知ることが防災・減災対策の第一歩といえるでしょう。
軟弱地盤の深度が2m以内の場合は浅層改良・混合処理工法を、2~10mの場合は中層改良工法・混合処理工法を用います。粉体のセメント系固化材またはセメントスラリーを土と混合攪拌することで地盤の強度を高めます。この他に、地中に円柱状の強固な地盤を築く柱状改良工法や、地中に鋼製の杭を打ち込む鋼管杭工法などがあります。地盤の特質に応じた地盤改良を行うことが減災につながるのです。