n値の算出方法
2022年11月16日 地質
一般的に、n値は標準貫入試験により算出されます。世界的にn値の算出方法は同一のため各種基準にも同様の者が記載されているため海外基準への適用も可能です。n値には、換算n値としてスウェーデン式サウンディング試験から求めることもできます。
n値の算出方法
ここでは、n値がどのように算出されるかを解説します。最も一般的な手法が標準貫入試験であり、地盤の物性を原位置で簡便に測定する試験法です。試験方法は、削孔した孔を利用して1m毎に地盤の固さを測定する調査で、土や岩のサンプリングと同時に行われます。また、標準貫入試験は、原位置における土の硬軟、締まり具合の相対値を知るためのn値を求める貫入試験として規定されました。試験によって得られた土の強度を測る指標の一つをn値と呼び、地盤の安定性を推定する目安に使われます。加えて、本試験では、土や岩を採取できるため地盤の性状判定や室内土質試験も可能であり汎用性に優れています。以上より、標準貫入試験の長所・短所を下記のように纏めることが出来ます。
◇長所
- 世界各国で基準化された試験方法のため、海外基準での設計や比較検討にも適用可能
- 当該地盤を採取できるため土質試験による詳細検査への転用可能
- n値としての判定を各種基準で適用できる
- 土層の連続性や層厚を確認できるため支持層確認に適用できる(n値50以上が5m以上連続している場合に支持層と判定可能)
◇短所
- 一定の平坦な調査スペースが必要である
- 土質に応じて試験時間が長いケースがある(高強度な岩盤など)
- 軟弱地盤では、データの信憑性が低い
- 騒音・振動が発生する
n値の算出方法
標準貫入試験では、63.5kgのハンマーを760mmの高さから自由落下させて、サンプラーを土中に300mm貫入させるのに要する打撃回数を測定します。この時の打撃回数がn値となります。n値はNumber(回数)の頭文字のことを示し、サンプラーが30cm貫入するのに要する落下回数を表しています。一般的にn値の範囲は、0回以上≦n値≦60回未満になります。打撃回数が多いほど硬い盤石な地盤で、反対に打撃回数が少ない地盤は軟弱であることを示します。
その他のn値算出方法
n値を求めるための試験は、標準貫入試験の他にスウェーデン式サウンディング(SWS)試験等があります。本試験では、試験結果をn値に換算して用いるため、換算n値と呼ばれています。スウェーデン式サウンディング試験は、簡易な地盤調査の手法として広く認識されています。試験方法は、ドリル状のロッドを地面に対して回転させながらめり込ませてていきます。そして、25cmめり込むのに必要な回転数から、地盤がどれくらい硬いか、また引き締まっているかを判定します。この結果を、標準貫入試験での打撃回数に換算して、換算n値として求めています。スウェーデン式サウンディング試験は、標準貫入試験と比較すると、安く短時間で行うことができ、試験場所も狭い範囲で測定が出来るため、戸建て住宅の地盤調査などによく使われています。