建設ICTを活用した地盤改良の流れと対象工事の種類

2024年07月26日 建設DX

建築ICTは、建築・生産システムの効率化や高度化を図り、生産性向上を目的とした情報通信技術のことです。国土交通省では、建設現場の生産性を向上させるためにICTの全面的な活用を進めています。

また、地盤改良工事とは、建設地の地盤が弱い場合に、地盤を適切な状態に補強する工事のことです。

今回は、建設ICTを活用した工事の主な流れと、対象となる工事の種類についてまとめました。

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建設ICT活用工事の主な流れ

ICTの活用工事(地盤改良工)は、施工の全てのプロセスでICT施工技術を活用することです。また、「ICT地盤改良工」という略称を用いる場合があります。

ICT技術を活用した地盤改良では、次の5つの施工が行われます。

  • 3次元起工測量
  • 3次元設計データ作成
  • ICT建設機械による施工
  • 3次元出来形管理等の施工管理
  • 3次元データの納品

参照:国土交通省

 

また、ICT活用工事の発注から完成までは、次のような流れで行うことが一般的です。

  1. 発注方法の決定(発注者指定もしくは施工者希望制)
  2. 工事費の積算
  3. 工事の発注・契約
  4. 3次元設計データの貸与
  5. 工事費の積算(3D設計図書等がない場合)
  6. ICT活用工事の施工計画書の作成・提出
  7. 3次元起工測量
  8. 3次元設計データ作成
  9. 設計変更審査会及び契約変更
  10. 建設ICTによる施工
  11. 3次元データの納品
  12. 設計変更審査会及び契約変更
  13. 完成検査

 

ICT活用工事における3次元設計データとは、「施工履歴データを用いた出来形管理要領(表層安定処理等・中層地盤改良工事編)(固結工(スラリー攪拌工)編)」で

定義されている、地盤改良設計データのことです。

 

建設ICT活用工事の対象工事

ICTの活用工事は、21種類ある工事種別のうち、原則として「一般土木工事」が対象となります。

 該当するのは、河川土工・海岸土工・道路土工における、次の工事内容です。

  • 路床安定処理工
  • 表層安定処理工
  • 固結工(中層混合処理)
  • 固結工(スラリー撹拌工) 

地盤改良工の土木工事施工管理基準を適用しない工事は、ICT活用工事の適用対象外となります。

 ICT技術は、地盤改良において今後さらに活用されていくことが予想できます。技術の広がりにより、これまで以上に効率化や人的コストの削減、技術の精度向上が求められるでしょう。

 ICT技術によって、現場1人ひとりの生産性向上とともに、安全面における対策、経営環境の改善、賃金水準の向上などが期待されます。