総合評価における工期短縮の重要性とは?ECI方式について解説します

2023年12月14日 総合評価

総合評価落札方式の技術提案に取り組む上で、工期短縮の考え方は欠かせないポイントの一つです。

今回は、工期短縮を目指す契約方式の「ECI方式」について解説します。

ECI

工期を短縮するECI方式とは?

ECI方式(Early Contractor Involvement)は、公共工事において導入された新しい契約方式の一つです。この方式は、建設プロジェクトの工期を短縮し、効率を向上させることを目的としています。

ECI方式の特徴は、設計段階から施工者がプロジェクトに参画し、設計に対する技術協力を行うことです。プロジェクトがスタートする前に、発注者と施工者は「技術協力委託契約」を結び、「基本協定書」を取り決めます。施工者はプロジェクトにおける技術力とノウハウを提供し、設計段階から建設に関する専門知識を活用します。

ECI方式のメリットは、建設コストの縮減と工期の短縮にあります。施工者の専門知識が早い段階で活用されるため、設計の最適化と施工の効率化が実現可能です。

 

ECI方式の導入事例

ECI方式の導入事例は国によって異なります。アメリカではハリケーン対策事業に、日本では被災地の地方卸売市場再建においてこの方式が活用されています。

アメリカでは、2005年のハリケーン・カトリーナによる被害を受けたニューオーリンズでECI方式が導入され、応急復旧時から本格復旧時、そして復興段階にわたって使用されました。

一方、日本では近年、公共工事においてECI方式の導入が増加しています。宮城県女川町の宮ヶ崎地区にある女川町地方卸売市場施設整備事業では、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた水産物卸売市場の建て替え工事にECI方式が採用されました。

 

ECI方式における課題点

高い調整能力が求められる

コスト縮減や工期短縮が期待されるECI方式ですが、導入には課題点も存在します。それは、発注者に高い調整能力が必要であることです。

この方式では、基本設計者と施工者(技術協力者)が連携し、設計変更や予算調整を行う必要があります。基本設計者は設計の品質や要求事項を維持し、施工者はコスト削減を目指すため、その調整は発注者によって主導されます。

調整が難しい場合、実施設計が進行中または完了後に再度施工者を選定しなければならず、技術提案の引き継ぎや権利関係の調整に関連するリスクが存在します。このため、高度な調整能力が求められるでしょう。