地盤改良とICT
2022年09月21日 ICT
地盤改良とは、建物などを新たに建築する際に、安全性を確保するために建築場所の地盤を強固な地盤へと人工的に改良し、建物などの倒壊リスクを減少させることです。この記事では地盤改良管理システムとICT技術を利用したICT工事について説明しています。
地盤改良とは
仮に、地盤が弱い土地に建物を建築した場合、地震による建物の倒壊・液状化・建物の自重による傾斜、沈下(不同沈下)などを引き起こす可能性があります。
また、近年は地盤改良の効率化が図られており、地盤改良管理システムがその代表例です。従来は作業員が自ら測定や区画割りなどを行う必要がある上、作業には一定の経験が必要でした。
しかし、地盤改良管理システムを利用することにより、作業員の熟練度に関係なく一定の高品質な作業が可能となりました。
各施工業者ごとに保有する技術は異なるのですが、具体的には
- 対象区画の区画割や深度測定などがシステム内で完結する
- 作業員による手作業での測定が軽減されることで、作業員と重機の接触事故が減少するため、安全性の向上が見込める
- 測定などに掛かる時間が短縮されるため、工期の短縮に繋がる
- 作業内容をデータとして自動的に保存
など、さまざまな作業の効率化が可能となります。
ICT工事とは
地盤改良管理システムと同様に近年注目されているのがICT技術を利用したICT工事です。
ICT工事とは、ICT(Information and Communication Technology)すなわち情報通信技術を3次元起工測量 、3次元設計データ作成 、3次元出来形管理等の施工管理、3次元データの納品の4つの段階でICT技術を用いた工事のことで、ICT構造物工という名称も用いられます。
また、建設ICTやICT施工もほとんど同義です。ICTを活用することで、測量や設計・建設をはじめとする全ての工程を3次元データとして一括して管理することによって作業の効率化・短縮化、安全性の向上が見込めます。具体例では、ドローンによる測量や撮影、3Dモデルを用いた情報管理などが一例です。
ICTが注目されているのは作業の効率化や工期の短縮化や安全性の向上だけではありません。
それは人材不足の解消です。
建設業界に対する「キツイ・危険」などのイメージが先行してか、新卒者の就職先として建設業を選択する人の割合は過去50年ほどで約80%ほど減少し、就職したとしても体力的問題や労働報酬の少なさなどから、3年以内に約半数が離職するといわれています。加えて、現技術者の高齢化も相まって建設業界は慢性的な人材不足に陥っています。
そのため、上記のような人手不足の解消や作業の効率化などを図るために国土交通省の主導によって建設業にICTの導入を進める、「I−Construction」という施策が取られています。
ICT工事は現在、軟弱地盤を強固な地盤へと改良する中層混合処理工法において多く用いられており、その中でもスラリー揺動撹拌工においては砂・礫が多い地盤でも対応可能なため近年多く採用されています。
セリタ建設ではICTによる施工管理を徹底し、的確なデータ収集と、従事者の経験や勘に左右されない施工をしています。地盤改良を検討されている方は、ぜひお問い合わせください。