地盤改良工事と地盤の履歴
2022年08月29日 ICT
地盤改良工事において施工履歴データは重視されます。土木関係者以外にも注目されているのが、地盤の履歴データです。近年はWEB上で地盤の履歴を無料で公開するサイトが増え、情報を簡単に入手できるようになりました。地盤の履歴を把握する意義を説明します。
地盤の履歴がWEB上で公開されている
地盤改良工事におけるICT活用の状況について過去の記事で説明してまいりました。
『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館)の「ICT」の項では、「そもそもICTは広範な意味をもつことばであり、サーバー、インターネットなどの技術だけでなく、ビッグデータ、ソーシャルメディアなどのサービスやビジネスについてもその範囲に含めることが多い。」とされています。今回の記事ではビッグデータに関連することを紹介します。データの中でも、地盤の履歴に焦点を当てていきます。
近年、地盤の履歴データが注目されています。履歴に関する様々なデータがWEB上で無料公開され、わかりやすさや使いやすさ、データの量や質などにおいて高く評価されているのです。多くのサイトは、住所を入力するとその場所の地盤情報等を地図上ですぐに確認できる仕様になっています。
地盤や災害に関する情報を豊富に提供
地盤情報としては、地耐力など地盤の強弱に関すること、地質図、地形図、治水地形分類図などが公開されています。解説が付されるものもあるので、地盤に関する知識のない方でも土地のリスクを把握することができます。多くのサイトでは、地震時の揺れやすさ・液状化の可能性・主な活断層・土砂災害の危険性が高い場所などの防災情報が併せて掲載されています。サイトをひとつ利用するだけで、防災や、構造物を築く際の土地選びなどに役立つ情報をスピーディに得ることができるのです。
地盤の履歴を把握する意義
地歴を知ることの意義はたいへん大きいものです。航空写真や地形図を掲載しているサイトの場合、「この辺りは一帯が田んぼだった」「昔ここは海だった」ということが一目でわかります。田んぼだった場合、もともと地盤が軟弱であると判断できますし、海であればなおさらリスクの高い土地であることがわかります。サイトによっては地盤改良工事の必要性の有無を表示する機能を備えたものもあります。
もともと、地盤関連の情報は、機関ごとのホームページに掲載されていましたが、それらの情報をまとめて公開しているサイトが多く存在します。複数の自治体について同じサイトで調べることができるのでたいへん便利です。ハザードマップや避難所マップなどを掲載しているサイトもあります。省庁や自治体の許認可を得た上での公開なので倫理上の心配は不要なケースがほとんどです。
地盤改良工事のICT活用においても、施工履歴データは重視されます。地盤の履歴データが工事に活用されるという展開も今後は期待されます。