地盤改良工におけるICT活用の推進
2022年07月19日 ICT
地盤改良の現場におけるICT活用の推進が奨励されています。国土交通省のi-Constructionでは、土工への「ICTの全面的な活用」を重視し、地盤改良工もICT活用を推進する工種としています。地盤改良工において、どのようにICTが用いられているか・利点は何かを説明していきます。
土工の現場で進むICT活用
国土交通省は、建設現場での生産性向上を目指してi-Constructionを推進しています。これは、将来ほぼ間違いなく訪れる生産年齢人口の減少という事態を見据えた取り組みです。i-Constructionで個々人の生産性を向上させると共に、企業の経営環境を改善させることを目指しています。環境改善を通じ、スタッフにとって、より働きやすい環境・より働きがいのある環境を実現していくのです。
i-Constructionは3本柱で構成されていますが、その1つに、土工への「ICTの全面的な活用」があります。これは、土工の現場におけるICTのスムースな導入と普及推進を図るものです。国土交通省は「ICTの全面的な活用の推進に関する実施方針」を定め、ICT活用を推進する工種として地盤改良工などを指定しています。「ICT活用工事 (地盤改良工)実施要領」「ICT活用工事(地盤改良工)積算要領」などの資料も公表しています。
地盤改良におけるICT活用工事の利点を説明していきましょう。
調査および測量におけるICT活用
調査および測量におけるICT活用の例として、3次元起工測量があります。
地盤改良では、施工前に地形データを集める必要があるのですが、UAV(ドローン)や3Dレーザースキャナーなどを使用する3次元起工測量で効率的に作業を進めることができます。広域の調査・測量も可能です。測量に3Dレーザースキャナーを用いると、路面の沈下量などのデータを正確に収集できます。目視では実現できない精度のデータを収集することで、地形に合わせた対策を設計に反映させることができるのです。
ICTによる施工と検査
ICTを活用して収集したデータをICT建機にとり込むことで、施工の効率が格段に上がります。セメント等の固化材と土を混合・攪拌する過程もマシンコントロールで制御されるので、精確な作業が可能です。その上、攪拌過程のデータ等の履歴を保存できるので、出来高および出来形計測を簡単・確実に把握できるようになります。お客様にデータをお渡しすることで信頼を得ることにもつながるでしょう。
集めたデータは検査工程においても活躍します。調査・測量の段階で得たデータから施工の履歴までが一元化されているので、検査や管理に必要な帳票を自動作成することが可能です。実測作業が不要となり、書類作成の負担が格段に軽くなります。
さらに、データを解析することで、今後の地盤改良の品質向上につながることも期待できます。
ICT活用は地盤改良の効率化および品質向上に大きく寄与するのです。