老朽化したため池が抱えるリスク
2021年12月04日 ため池
老朽化が進んだため池の存在が問題となっています。適切な対策を施さなければ、天災をきっかけに決壊を起こし、周辺地域に大きな被害をもたらす可能性があるためです。この記事では、老朽化したため池が抱える諸問題と、有効な対策について説明します。
ため池の老朽化と災害
ため池のほとんどは築造年代が非常に古いといわれます。江戸時代に築かれた・あるいは築造年代が不明なものが全体の7割近くに達し、明治・大正時代の築造は2割程度、昭和時代は1割程度というデータがあるほどです。各地で作り方を試行錯誤したものと推察され、形態も多様なため池が全国で約16万か所存在します。
近年、地震や台風、集中豪雨をきっかけにため池が決壊を起こし、周辺地域に大きな被害をもたらす事例が相次ぎました。ため池の老朽化や日頃の維持管理が十分でないことが背景にあると考えられています。底樋や洪水吐きなど、ため池の設備の機能が低下しているケースや、堤体の強度が小さくなっているケースが見られるようです。木製の設備を金属やコンクリートに換えるなどして強度を高めたため池においても、維持管理が行われていなければ設備の劣化や堤の強度低下は避けられません。
ため池の老朽化がどのような問題につながるのか、以下で具体的に説明します。
老朽化が原因で起こる諸問題
堤体にクラック(ひび割れ)や陥没が散見されるため池があります。クラックが発生する原因は、ため池における水位の急上昇・地震の発生・乾燥などです。放置すると、ため池堤体の中に雨水が流れ込んで水みちができ、いずれ決壊を引き起こす要因となります。
また、ため池堤体の漏水も深刻な問題です。堤体から漏水して内部に水みちができていたり、底樋や洪水吐きなどため池堤体を横断する設備が老朽化してその周囲から水が漏れていたりすることがあります。漏水対策を行わなければ、集中豪雨や台風が起きた際、ため池の水位が急上昇して決壊するリスクが高まります。
さらに、ため池堤体の断面の変形も見逃せません。上流の法面は波によって、下流の法面は雨水や漏水によって浸食されていきます。このような浸食が進行すると、堤体の断面が縮小し、ため池が安定して水を貯めることができなくなります。
堤体の強化が災害を防ぐ
ため池の決壊を防ぐためには、定期的に設備の点検や堤体の漏水調査を行うといった対策が求められるでしょう。加えて、堤体に地盤改良を行うことをおすすめします。クラックや水みち、断面の変形が解決できることはもちろん、堤体の強度が上がって決壊が起きるリスクを低減します。詳しくはセリタ建設までお問い合わせください。