ラップル基礎の概要と問題点

2021年08月27日 地質

ラップル基礎とは何かという説明からラップル基礎の強度・ラップル基礎と地盤改良どちらを選ぶか判断する基準まで解説していきます。ラップル基礎と地盤改良は地盤の強度を上げるのが目的という点では共通しますが、経済性などについて差があります。

ラップル基礎とは

構造物を支えて安定させるための土台となる部分を基礎と呼びます。構造物そのものが頑丈であるだけでは、構造物の安定は保証できません。しっかりした基礎があってこそ安定するのです。

ラップル基礎とは、基礎としてラップルコンクリートを打設したものです。地盤を掘削して軟弱地盤を除去し、頑丈な支持地盤にラップルコンクリートを打設して、その上に構造物を築くのです。掘削後の手順は、支持地盤の上で型枠を建てて生コンクリートを流し入れ(コンクリートの量は、建物の重さに合わせて調整します)、コンクリートが固まったら型枠を解体して打設完了という流れです。

ラップルコンクリートと捨てコンクリート

ラップルコンクリートは、無筋コンクリート(鉄筋の入っていないコンクリート)です。質の良いコンクリートを用いるとコストがかかるので、粗めの材料でよいとされています。ラップルコンクリートの形はほとんどの場合は立方体です。

捨てコンクリートも無筋コンクリートです。捨てコンクリートは、基礎を打設する前に底面を平らにするために用いられるもので、基礎の強度とは直接の関係がありません。

ラップル基礎に必要な強度

ラップルコンクリートは面積が大きければ大きい分、強度が小さくてもよいとされます。面積が大きいことは支える力が分散されることなので、小さい強度でも支えられるのです。ラップル基礎に必要なFC(設計基準強度)は一般的に18程度です。設計基準強度の標準はFC24なので、ラップルコンクリートに求められる強度は比較的小さいといえます。

ラップル基礎と地盤改良どちらを選択するか

ラップル基礎が選択されるのは軟弱地盤が浅く、かつ、施工範囲が狭い場合であることが多いといえます。

軟弱地盤が地中深くまで続く場合、ラップルコンクリートを打設するのは難しくなります。また、ラップル基礎は軟弱地盤を掘削してコンクリートに置き換えるのですから、施工範囲が広い場合は地盤改良と比べてコストが高くなる可能性が高いのです。戸建て建築程度の広さであってもラップル基礎ではコストがかかりすぎるといわれます。

こうした経済面の問題点から環境負荷のことまで考慮して、地盤改良を選択することをおすすめします。