盛土の地盤改良について詳細解説
2021年08月06日 地質
盛土の地盤改良について、その必要性を説明します。盛土をはじめとした造成と地盤改良とは混同されやすいのですが、両者の違いを説明するとともに、盛土して時間の経過していない土地の上に構造物を築くリスクについても解説していきます。
造成と地盤改良の違い
盛土で造成した土地を利用されるお客様から寄せられるご質問として、「盛土しているから地盤改良は不要なのでは?」というものがございます。盛土や切り土・埋め立てなどの造成と地盤改良とは異なり、造成工事をしたからといって地盤改良が不要になるわけではありません。むしろ造成地であればなおさら地盤改良が必要になるケースが多いのです。
そもそも造成とは山の斜面や田畑などの土地を、違う用途(宅地、駐車場、道路など)で使うために行う工事のことです。海岸や河岸で行われる埋め立てや干拓も造成工事のひとつですし、周囲と比べて地面が高い土地では切り土が、逆に低い土地では盛土が行われます。一方の地盤改良は軟弱地盤を補強して安定した地盤に更新する工事のことです。セメントやセメント系固化材を軟弱土と混合攪拌する工法が地盤改良の代表例です。
盛土した土地で地盤改良が必要な理由
では、なぜ盛土した土地で地盤改良が必要なのでしょうか。きれいに地ならしされた造成地は一見なんの問題もないように見えますが、実は軟弱地盤であることが多いのです。特に盛土による造成工事を行った土地は地盤改良が必要な土地である可能性が高いといえます。なぜなら、新しく盛土した土地には間隙が多いからです。間隙は時間がたつにつれ減少し、減少した分の体積が減ります。盛土した箇所全体が収縮すると考えればよいでしょう。構造物を支えている地盤の一部が盛土であった場合、収縮した盛土の側に構造物が傾く不同沈下が起こります。不同沈下は盛土での発生率が高いとさえいわれます。これを防ぐために地盤全体を調査して地盤改良を行うことが必要なのです。
盛土と地盤改良どちらが先か
盛土と地盤改良に関するご質問で「盛土と地盤改良どちらを先に行うのか?」というものもございます。先に盛土を行ってから地盤改良します。また、「盛土した後どのくらい寝かせたら地盤改良できるのか?」というご質問もございます。盛土してすぐに地盤改良することは可能です。昔は「田んぼだった場所に家を建てるなら10年寝かせなければならない」といわれていたようですが、地盤改良の普及によって10年寝かせることも不要になりました。
盛土した土地も地盤改良によって安定した地盤になることがおわかりいただけたと思います。