地質や地形に応じた地盤改良を行う

2021年03月04日 地質

地盤の安定性は地質によって大きく異なり、安定性に欠ける地盤では地盤改良を行うことが必要です。地盤改良しないケースと比較し、地盤沈下や液状化する確率が低下します。この記事では、地盤改良とは何か、地盤改良を行う基準、地盤改良工法の種類について説明します。

地盤改良とは、安定性に欠ける軟弱な地盤を人工的に改良して安全を守る工事です。地盤調査を行って充分な強度がないと判断した場合に地盤改良するのが一般的です。地盤調査には強度を確認するだけでなく、地質等を把握し、どのような改良が必要か見極める目的もあります。代表的な地盤調査の方法はスウェーデン式サウンディング試験やボーリング調査です。

地盤改良を行う必要があると判断する基準は、地盤の強度N値です。一般的な一戸建てを例にとると、N値が3以上、できれば5以上あった方が望ましいとされています。より重量のある構造物の場合はより高いN値が必要ですし、同じ規模の一戸建てでも土地の地質によってはより高いN値を満たさなければならないことがあります。地盤改良する際は、構造物の規模や土地の地質によって、目標とする強度を設定しなければなりません。

地盤改良工法の種類は、大きく分けて3つあります。浅層・中層改良工法、柱状改良工法、鋼管杭工法です。

浅層改良工法は、軟弱地盤が地表から23m、中層改良工法は、10m未満の場合に適性があります。軟弱層を掘削し、セメント固化材等と土とを混ぜ合わせることで強度を高める地盤改良工法です。

柱状改良工法はセメントミルクの柱を地中に何本も立てることで地盤を強固にします。柱は碁盤の目のように規則正しく地中に並び、地盤上の構造物をしっかり支えます。重量のある構造物によく用いられる工法です。

鋼管杭工法は柱状改良工法と似ていますが、セメントミルクの柱でなく鋼管を杭打ちすることで構造物を支える地盤改良工法です。

地盤改良の費用は工法によって大きく異なります。軟弱地盤が浅い場合は、費用が抑えられる上に比較的小型の重機で施工可能な表層改良工法を用いることが多いです。浅層改良工法で強度を発現するのが難しい場合は柱状改良工法や鋼管杭工法が選択されます。しかし、地質や地形によって工法の向き・不向きがあるので、その点も注意が必要です。例えば、柱状改良工法は有機質土などではセメント固化材がうまく固まらないことがあります。また、浅層・中層改良工法は勾配の急な土地とは相性が悪いとされ、地下水位より低位置に地盤改良面がある場合は対応が厳しい場合があります。

軟弱地盤の深さ、地質、地形、周辺環境などを考慮し、安全性を確保するのに最も適した工法を選択する必要があるのです。