河床の地盤改良で流域の安全を守る

2021年01月15日 河床

河床や河川の地盤改良は、河川断面を大きくすることで流下能力の向上や洪水時の水位低下を図ることや、また堤防を嵩上げすることを目的として行われる工事です。この記事では地盤改良の手順や代表的な工法、地盤改良で用いられるセメントの特徴などについて説明します。

河床や河川における地盤改良の手順を説明しましょう。現地を調査して地盤の地耐力を計算します。計算の結果、地耐力が小さい軟弱地盤だと確認された場合、軟弱地盤の深さや土質、周辺環境を考慮した上で地盤改良範囲や工法を決定します。河川における作業なので、事前に大型土のうや矢板などで水の流れをせき止めたりかわしたりする処置を行うことが必要です。

地盤改良の代表的な工法は表層改良工法と柱状改良工法です。表層改良工法では、対象地盤上に地盤改良材を散布してバックホウ攪拌した上、整正・転圧します。柱状改良工法では、改良対象土とセメントミルクを攪拌し、柱状機で地面を垂直に掘りながらセメントミルクを注入することで円柱状の強固な地盤を造成します。改良工事の終了後、地盤の強度について試験し、充分な強度が得られていることが確認できたら地盤改良は完了です。

表層改良及び柱状改良工法ではセメントがよく用いられ、セメントや水の使用量計算が地盤改良の成否に深く関わります。高い強度を恒久的に保てるという点でセメントは非常に優秀な地盤改良材です。セメントで地盤改良した直後の土はアルカリ性を示しますが、表面の地盤は徐々に中和が進みます。また、改良土の周辺の土壌への影響も極めて小さいので、環境面での心配をする必要は少ないでしょう。

地盤改良工法の種類は、表層改良と柱状改良の他にもいろいろあります。軟弱地盤の全部または一部を砂や砕石や無筋コンクリートなどに置き換える砕石置き換え工法、排泥を管の中に吸引して地表へ排出することにより地盤を安定させる高圧噴射工法などです。環境への影響や、コスト、工期、使用する機械は工法によって様々です。地盤の土質や現場周辺の地形条件によっては選択できない工法もあります。河床や河川を地盤改良する目的は流域の安全を守ることなので、「その工法で充分な強度を発現できるかどうか」を第一に考えることが必須です。