ダムメンテナンスと浚渫工事
2020年10月28日 ダム
治水、水道用水やかんがい用水の確保、発電など、私たちの暮らしを多面的に支えるダム。ダムの堆砂(ダム湖内に堆積した土砂)問題を解決することでダムは半永久的に利用できる可能性があることについてお話しします。
「ダムは土砂がたまることによって100年で寿命を迎える」といわれることがありますが、これは必ずしも当たっていません。ダムは、治水や利水の容量とは別に、100年間の土砂堆積の容量を確保して設計されます。これは「100年たてば容量を超えて土砂が堆積し、ダムは使えなくなる」ということを意味するものではありません。なぜなら、浚渫を行う・ダムに土砂吐きゲートを設置するなどの方法でダムの堆砂を除去すれば、ダムは100年以上にわたって使えることになるからです。
突発的な豪雨やダム湖畔の土砂崩れなどの要因で、予測を上回るスピードでダム湖内の堆砂が進むこともあります。そのような場合でも、上記の浚渫などの方法で堆砂を除去すれば心配することはありません。ダムの寿命を延ばすために行った浚渫によりとり除いた堆砂は、コンクリートの材料にするなどして有効活用されます。
しかし、浚渫などのメンテナンスを行わず堆砂を放置することが、ダムの寿命を縮める恐れがあることは間違いありません。2019年12月には、道府県の管理下にある、治水目的のダムの約1割にあたる全国42のダムで、土砂が許容量を超えて堆積し、治水機能が低下している可能性を国土交通省が指摘しています。これを受けて総務省は治水目的であるかどうかを問わず、ダムの堆砂を除去する事業に補助金を出すことを発表しました。ダムの堆砂問題がダムの機能および寿命に直結する問題であることをこの報道は示しています。同時に、浚渫などの維持管理を行うことがダムにとって重要であることも明らかになりました。
バックホウを用いた浚渫や、ポンプで吸入する浚渫など、沈積した土砂を除去するダム浚渫工法はいろいろあります。ダムの堆積物を計画的に除去していくことで、ダムをより長く使えるようメンテナンスすれば、ダムの寿命を心配したり、ダムを過剰に建設する計画を立てたりする必要はないでしょう。
セリタ建設は地盤改良で培った技術でダムの浚渫工事にあたり、ダムのメンテナンスに寄与していきます。技術を活かすことで、今ある資産を未来につなげるよう社員一同励んでまいります。