地震発生時の液状化対策工法を紹介
2019年02月21日 地盤改良
地震が発生した際に心配なのが、建物の不動沈下を引き起こす液状化です。この記事では、液状化対策としての地盤改良の有効性について説明します。
液状化は沿岸部だけでなく内陸部でも発生しうる現象で、東日本大震災では多くの住宅が被害を受けました。地盤は土や砂、空気、水が混ざっており、粒子どうしが結合することで安定しています。地震によって地盤が大きく揺らぐと、粒子同士の結合が崩れ、砂が水に浮いた状態となります。これが液状化です。地盤の下部では砂の粒子が密になり、上部に水が逃げ出すことで、建物の傾斜や沈下が引き起こされるのです。
液状化対策としてまず行うべきことは地盤調査です。スウェーデン式サウンディング試験は比較的安い費用で行うことができます。スウェーデン式サウンディング試験に加えて、液状化判定を行うとより安心です。地盤の試料を採取し、土質を確認することで液状化の可能性を判定するものです。さらにボーリング調査を行うとより精度の高い調査結果が得られます。なお、自治体のホームページなどで地震ハザードマップが掲載されており、液状化のリスクが高い土地を推定することができます。
土地が軟弱地盤の場合は地盤改良を行う必要があります。液状化対策として有効な地盤改良として締固め工法、固化工法、間隙水圧消散工法があります。近年は砕石パイル工法なども行われていますが、ここでは、施工件数が多く、実績が保証されている浅層混合処理工法と中層混合処理工法について説明します。いずれも固化工法に該当します。
浅層混合処理工法(表層改良工法)は、重機で地盤の2m以内を掘り起こしてセメント系固化材と土を混ぜ合わせて地盤に投入し、重機等で締め固めます。締固めが行えない軟弱土は、固化材と化学的結合作用のみを期待するため、対象土と固化材が密着していることが極めて重要です。
地盤が振動しても、砂・土と水が分離するリスクが減少し、液状化が起こりにくくなります。特に、支持層が明確でない土地の場合は浅層混合処理工法が有効だといわれています。
中層混合処理工法は、浅層混合処理工法と深層混合処理工法(柱状改良工法)の中間で、近年、施工件数が増えています。バックホウに攪拌混合装置を取り付け、セメントスラリーと土を攪拌・混合することによって地盤を強化します。浅層混合処理工法と同様、砂や土と水が分離しにくくなり、液状化対策として効果があります。
防災意識の高まりと共に、液状化対策としての地盤改良が注目されています。液状化のリスクが高い土地の構造物でも、地盤改良を施工していた箇所では液状化被害が起こらなかったとの報告があります。安全と安心の確保のため、地盤改良を実施しましょう。