掲載誌一覧
2006.04 - 2008.09
Tierra
図書名 Tierra ティアラ
発行元 コーポレートコミュニケーション部
発行日 2006年10月 第84号
伊万里、唐津、有田など、美しい陶器に焼き上がる“佐賀の土”。だがその一方で、県内一帯の表層地質には「軟弱地盤」が多いという煩わしさも、佐賀の土が持つ特徴だ。それは、県内で掘削稼動する油圧ショベルにはほとんど、ツメを持たぬ平バケットが装着されることからも伺い知れる。
その地質特性に着目し、早くから地盤改良工事を事業の中核として確立させてきたのがセリタ建設殿。他社に先駆け、同社の大きなアドバンテージとなっているのが、代表取締役・芹田正登志氏が完成させた「マッドミキサー」による地盤改良工法だ。
取材で訪れた施工現場。諫早湾の干拓地を農地へ転換するべく、2.3~2.5mの表層改良を行うという。写真奥が改良土で盛土施工された農業用水路。手前がこれから施工される部分。

代表取締役 芹田正登志氏
「現在、さらに改良した「マッドミキサーM-Ⅲ型」の開発を進めています。年末稼動に向け、開発は最終段階を迎えました」
ロング仕様の油圧ショベルフロント先端に、独自開発した特殊撹拌機を装着。軟弱土と固化材を連続混合していくことで、土質性状の安定と強度を高める工法である。
「5年の開発期間中に5~6種の手作り試作機を経て、80年に完成させたのが円形ロータリーを回転させる「マッドミキサーM-Ⅰ型」です。従来工法は、外部プラントで改良した土などと入れ替える“置換え”や、原土を現場で改良するにしても汎用バケットでの撹拌作業のため、オペレータの技術差で混合率にもムラがありました。しかし、マッドミキサー装着による施工は撹拌効果が充分に得られ、改良土にバラつきが少ないほか、施工体制がすぐに整えられるのでプラント設備なども不要なのです」(芹田代表)
マッドミキサーM-Ⅰ型
かつてオランダの街並みをそのままに再現するハウステンボスの運河建設の工法選定試験施工において、全国からエントリーした十数社の工法の中から唯一、このⅠ型によるマッドミキサー工法だけが“合格”の認証を得た。
マッドミキサーM-Ⅰ型に加え、88年には改良型の「同M-Ⅱ型」を開発。Ⅱ型の完成によって、セメントや生石灰などの固化材を現場に直散布する粉体撹拌工法で深度4.0m程度、固化材と水とを混合させて作ったスラリー材を使用することで深度6.5mまでの表層改良が可能となった。
Ⅱ型の最も大きなタイプでもアタッチメント自重は2tと軽量。そのためロングフロント仕様に装着でき、重機が走行できない困難な地盤でもリーチを活かして広範囲に(18m超ロング仕様機への装着で最大作業半径12mを確保)、しかも施工面全体を連続して混合できることから盤状改良が可能となり、安全性向上のほか、工期・コストも大幅に短縮された。
「改良する土質や足場確保条件にもよりますが、工期は従来比1/5、コストは1/4を実現しています」(芹田章博専務取締役)
左) マッドミキサーM-Ⅱ型/全長3.0~4.5mの各タイプのものがある。改良幅は1m。
右) 18m超ロングに装着された「マッドミキサーM-Ⅱ型」。“羽”の前後回転で固化材と原土を効率的に撹拌していく。
18m超ロングフロント仕様機への装着で最大12mの作業半径が確保でき、離れた箇所からでも施工が可能。
受注先は主に総合建設会社。佐賀県内はじめ九州一円から東北地方の一部まで、施工実績は全国約1400件にもおよび、これまで400万m3(=東京ドーム約3.2杯分!)の地盤改良や土再生を行ってきた。
だが同社の強みは、特殊撹拌機といったハードのみならず、数多くの施工実績から得たノウハウというソフトも大きい。
「施工プロセスは、着手前に対象土を採取・調査して固化材配合試験を経てから最適配合量を決定、それを散布してマッドミキサーで混合、圧縮試験の後に仕上がり強度を確認――が大まかな流れですが、もともと永久構造物として残るものを仕上げる業務なので、これまで数多くの現場で、多項目に渡る実証データを取り続けてきており、土質に応じたより最適な固化材配合のマッチング情報などを社内に蓄積してきています」(芹田専務)
専務取締役 芹田章博氏
「所有機はⅠ型20台、Ⅱ型16台。リースやアタッチメント販売はせず、施工請負に徹していく方針です」
昨年、国交省が運用する「公共工事等における新技術活用システム」の評価試行方式でマッドミキサー工法が“A”登録を受けたのも、こうした蓄積データによる裏付けが大きい。
“マッチング”といえば、特殊撹拌機を装着するベースマシンとして採用されているのがZX200LCスーパーロング仕様機。地場の大手リース販売会社・株式会社ソクトからの提案でレンタル導入し、これを機に同社では日立建機製品を使用するようになった。
「油圧のバランスがいいのでしょう。ZX200はマッドミキサーのパワーを充分に引き出してくれます。しかも燃費もいい。今、一日8時間の稼動で250~300m3の地盤改良を行っています。ソクトも日立建機も、細やかで迅速な対応をしてくれる点が高く評価できますね。吊る作業を含め、作業性の拡大を図るためにMLクレーン付きスーパーロング仕様機の相談をした際も、すぐに回答を出してくれました」(芹田専務)
Ⅰ型の第1号機のころから同社でオペレータを務めている山口一弘氏。「日立の機械になってパワーが強くなり、仕上がり量がグンと増えた。走行もスムーズだね」




前のページへ
次のページへ